note

似合わない懺悔

秋のコレクションをすっぽかし、皆様からもなんども「いつになったら新作できるの? 」「room#203は解散なの?」
などおしかりやご心配おかけしましたが、ようやく出来上がりました。
'02年11月にこのroom#203をスタートさせて、ちょうど今シーズンで2年目を迎えようとしています。

fashionと永く携われば携わるほど、年々欲しい,着たいと云う欲求を満たしてくれる洋服達が見つからない。
某有名ブランドの’XX年の新作コレクションなのだと一目でわかるものに貴重な大枚はたくほどウブじゃなく、
大枚払ってまで宣伝しなくちゃいけないような義理もない、  また国内の、とくににmen'sブランドに関しては
ほとんどが商業主義にまみれた安易な子供だましか、良心的というだけの退屈な実用品ばかり・・・

それがブランチワークス解散後、僕たちが売る側から買う側の立場になったときの正直で、少々憂鬱な感想でした。そういう状況のなか
本当に自分達がお金をだしても欲しい洋服、
そして今年よりも来年、再来年とシーズンを重ねれば重ねるほど愛着のわく洋服を、
そして小さければ小さいほど良い、真に理解して頂ける方と交遊できるshopを造ろうと。
それが'02年11月22日のスタート時点の思いでした。

日々shopを運営する上で少しずつですが、制作サイドの私古池にも、そして実務サイドの山崎にも、
もっとたくさんの人にわかってもらいたい、手渡したいという願望が増幅し、デザイン量や生産数もふえ、
とても嫌いな『クリアランス・セール』をせざる負えなくなるなど、
いわゆる商業的な、悪い慣例や慣習にすこしずつまた嵌りだそうとしている日常に疑問を感じ、
新たな作品を制作する上で、今一度、出発地点に立ち戻る時間が必要でした。

久しぶりのノートもなんだか懺悔のようになってしまいましたが、
今回のコレクションは焦りながらも、僕にとっては、余分なものを排除した、
気持ちのいい、そしてクールな洋服達になったと、密かに自負しています。

皆様からのメールや直接の励ましやお問い合わせ、またサンプルも上がらない前のデザイン画だけでのご予約など
本当にありがとう。 さぁて、次のシーズンも『淡々と』 制作しようっと。FUCKな古池にはとても似合わないのですが
最近『淡々』という形容詞に恋いこがれています。それではまた。と云っても今年もあと1ヶ月、怖いですね。
それでは本当にまた、また。

2004/nov.22(オープンから2周年を迎えた日に)

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